インターバル速歩(そくほ)で健康寿命を延ばそう!
健康増進のためにウオーキングをされている方も多いのではないでしょうか。
ウオーキングでは、何歩歩くかではなく、どのように歩くかが大切です。
ゆっくり歩きと早歩きを交互に繰り返すことで、筋力・持久力・骨密度の向上や生活習慣病リスクの低減が期待できる「インターバル速歩」について、松本大学の根本賢一先生にお話を伺いました。
インターバル速歩とは?
私たちの筋力は加齢に伴ってどんどん低下していきます。たとえば太ももの筋肉の場合、何も運動しないまま60歳を過ぎると、筋力は20歳代の半分にまで低下するといわれています。
しかし、効果的な運動トレーニングを行えば、何歳からでも筋力の増加は見込めます。ジムに通ってマシントレーニングを行ってもいいですし、プールに通って水泳を行ってもいいでしょう。ただ、長く続けて運動を習慣化することは、多くの方にとって難しいことではないでしょうか。
そこでお勧めしたいのが、〝インターバル速歩〟です。インターバル速歩とは、ゆっくり歩きと早歩きを交互に数分間ずつ行うウオーキング法。ゆっくり歩きと早歩きを繰り返し、早歩きの合計が1日15分以上になるように歩きます。目安は週4日以上。インターバル速歩は、散歩や買い物、通勤のときなど、日常生活に気軽に取り込むことができる運動です。
通常のウオーキングの場合、運動強度※は最大体力の40~50%までにしか上がりませんが、ややきついと感じる程度の速さで早歩きをすると、最大体力の70%を使います。たとえ数分間だけでも、このレベルの強度の運動を組み合わせることで、筋力や持久力の向上が期待できます。
※運動強度…運動時の負荷やきつさを表す指標。
インターバル速歩をやってみよう!
ウオーキングは歩くときの姿勢が最も大切です。背筋を伸ばし、視線は20~30m前を見ます。手のひらを軽く開いて、腕を後方に振ることを意識して、大股で歩くようにしましょう。最初はゆっくり歩き、徐々にス
ピードを上げながら歩きます。早歩きは、「ややきつい」「きつい」と感じる速さで行います。ゆっくり歩きのときは、十分にリラックスして体を休ませながら歩きます。
けが予防のために、運動前のストレッチも行いましょう。アキレス腱(けん)伸ばしや腕を前から耳の後ろまで上げて下ろす背中のストレッチなど、体をほぐしてから動き始めるといいでしょう。水分補給も忘れずに。
「小分け運動」の習慣化が、健康寿命を延ばす
加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力が低下し、身体機能が低下することをサルコペニアといいます。サルコペニアは、介護が必要となる前段階のフレイルの危険因子ですが、適切な運動と十分な栄養、適度な休養により、健康な状態に戻せる可能性があります。
健康で元気に過ごせる期間を長くするためにも、運動習慣を身に付けましょう。スポーツ選手のように激しい運動をする必要はありません。むしろ1日に必要な運動量を数回に分けて行う「小分け運動」を習慣化し、毎日、長く続けることが大切です。
インターバル速歩は、筋力・持久力の向上だけでなく、骨密度の増加や生活習慣病リスクの改善に効果があることも分かっています。ちょっとした時間を見つけて行う「小分け運動」が、長続きの秘訣です。
猛暑や氷点下など、外に出ることが難しい時期は、室内で足踏みするだけでも効果が見込めます。また、会社の廊下に「速歩ゾーン」をつくり、そこを通るときは大股&速歩で歩かなければならないルールにしてしまうなど、日々の生活に無理なく取り入れ、インターバル速歩を楽しんでください。
監修:根本賢一先生
松本大学大学院
健康科学研究科教授
Column
自分だけの健康指標ができる「活動量計」
活動量計は、体に身に着けて運動量を計測する機器で、歩数、歩幅、速度、走行距離、心拍数、消費カロリー、睡眠状態などの測定が可能です。
私たちは、立ったり座ったりといった日常の動作でもカロリーを消費しています。活動量計は、自分が1日に消費したカロリーの全てを合計して教えてくれるので、その消費カロリーを超えないように食事を調整することで、生活習慣の改善にも役立てることができます。スマートフォンと連携可能なものもあり、専用アプリを通じて詳細なデータを確認できます。
どのくらい運動すればよいかは、他人と比べるものではありません。適切な運動を行うために、自分の現在の活動量を知ることが大切です。毎日使うことでデータが蓄積され、自分だけの健康指標が出来上がります。家電量販店などで購入することができますので、ご自身に合ったものを利用してみてはいかがでしょうか。
健康マメ知識
知っておきたい「自覚的運動強度(RPE)」
皆さんは、運動をしていて「今のペースならもう少し続けられるかも」とか「もう限界だ、これ以上は無理」と感じた経験はありませんか?
その感覚を指標化したものを「自覚的運動強度(RPE:Rating of Perceived Exertion)」といい、個々の感覚に合わせて運動の強度を調整するのに役立ちます。
運動するとき、運動強度が過度に高いと健康リスクが上がる一方、逆に強度が低すぎると運動の効果が十分に得られない可能性があります。
自分が「ややきつい」と感じる程度の強度で行うと、体に負担をかけずに持久力を効果的に向上させることができます。
自覚的運動強度を把握し、それに基づいて運動を行うことで、運動の効果を最大限に引き出すことができます。
〈自覚的運動強度(RPE)の目安〉
きつい=強度64.3%=心拍数150拍/分
ややきつい=強度50%=心拍数130拍/分
提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2023年3月号) **禁無断転載**
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