お知らせ
2023年05月15日
【すこやか健保☆定期便のご案内】フレイル予防 人とのつながりで衰えない生活習慣をつくる(5月号)

フレイル予防 人とのつながりで衰えない生活習慣をつくる

将来の寝たきりリスクを下げる最強の条件は、食事でも、カラオケでも、趣味でもなんでもワイワイとみんなで楽しむこと。

健康寿命を伸ばすコツは、人とのつながりを保つことだという研究を行った東京大学の飯島勝矢先生に、フレイル予防で気を付けるべきことについて伺いました。

 

フレイルは、健康と要介護の中間地点

年を取って心身の活力が低下した状態を「フレイル」といい、大きく3種類に分かれます。「身体的フレイル」と「精神・心理的フレイル」、「社会的フレイル」です。

身体的フレイルは、筋肉量が低下するサルコペニアが中心的な病態を指します。

精神・心理的フレイルは、抑うつや意欲低下、認知機能低下が顕著な状態を指します。

社会的フレイルは、独居、外出頻度や知人との交流頻度が低下したことで地域から孤立した状態を指します。

多くの人が健康な状態からフレイルの段階を経て、要介護状態に陥ると考えられています。年を取っても元気に楽しく生活するのが理想です。しかし、年を取ると誰もが体力や筋力が低下し、日常の買い物に出かけるなどの行動が面倒だと感じるようになってきます。

そして、人と接する機会が減ったり、食生活のバランスが崩れたりすることにより、ますます体が衰え、さらには判断力・認知機能といった頭の働きも低下するという悪循環が起きてしまいます。

一方で、できるだけ早くフレイルの兆候に気付き、生活習慣を見直すことができれば、フレイルの進行を食い止め、健康な状態に戻すことも可能だと分かりました。

「社会とのつながり」が大切

では、どのような点に気を付ければよいでしょう。東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県柏市で行った高齢者約2000人を対象とした大規模調査(柏スタディ)の結果、毎日いきいきと健康的な生活を送るためには、①しっかりかんで、しっかり食べること、②運動をすること、③社会参加をすること―をバランスよく実践することが非常に大切であることが分かりました。

特に「社会参加をすること」が大切です。社会とのつながりを失うことで、認知機能の低下を招いたり、体を動かす機会が減って筋力が低下しフレイルにつながることもあるというのです。

フレイルは、社会とのつながりを失うことが最初の入り口になります。社会とのつながりを失うと、生活の質を落とすだけでなく、生活範囲やこころの健康、口腔(こうくう)機能、栄養状態、身体機能までもが低下を来し、ドミノ倒しのように衰えが進んでいきます。この現象を「フレイル・ドミノ」と呼んでいます。フレイル・ドミノが倒れ切った先が、要介護状態です。

フレイル度を確認してみよう

介護状態の入り口、フレイル。フレイルを防ぐためには、できるだけ早くその兆候に気付き、生活習慣を見直すことが大切です。

まずは自分自身の健康が今どの段階にあるのか、測定してみましょう。

初めに、簡単に筋肉量を確認することができる「指輪っかテスト」(下図)をやってみましょう。すき間ができる人は、サルコペニア(筋肉が減少・減弱した状態のこと)の危険度が高く、転倒や骨折などのリスクが高まります。

フレイルは、筋肉量の低下だけで起こるわけではありません。ほかにも気を付けるべき点については、「イレブン・チェック」(図)に答えることで、確認できます。

結果がよくない項目があれば、今から生活習慣を見直すように心がければ大丈夫。気付きとアクションを起こすタイミングは、早ければ早いほどよいので、40代・50代の方もぜひチャレンジしてみてください。

※指輪っかテスト、イレブン・チェックは東京大学高齢社会総合研究機構が柏スタディをもとに考案。

監修:飯島 勝矢先生

東京大学 高齢社会総合研究機構  機構長

未来ビジョン研究センター 教授

医師、医学博士

Column

オーラルフレイルを予防しよう

加齢によって口腔機能が衰えることをオーラルフレイルといいます。口から食べ物をこぼす、物がうまくのみ込めない、滑舌が悪くなるといったオーラルフレイルの兆候に気付かずにいると、サルコペニアやフレイルを引き起こす原因に。

ここ数年、歯医者に行っていないという方は要注意。虫歯や歯周病はいつの間にか進行しています。まずは歯科検診に行き、口臭、かみ合わせなども確認してもらいましょう。

オーラルフレイルを評価する方法の1つに「パ・タ・カ」テストがあります。「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間ずつ、できるだけ早く、はっきりと発音し、何回発音できたかをカウントします。6回以上発音できれば問題なし。6回未満の人は、口周りの筋肉が弱っているかもしれません。

健康マメ知識

「フレイルチェック」に参加しよう!

年を取って心身の活力が低下した状態を「フレイル」といいます。フレイルの状態を放置しておくと、要介護状態になる可能性が高く、早めの対策が肝要です。フレイル状況を確認するための「フレイルチェック」は、現在、全国で開催されています。

「フレイルチェック」とは、地域の高齢者に身近な通いの場(地域サロン等)を実施場所として、簡単に測定可能な項目(指輪っかテスト、イレブン・チェック、簡易機器を用いて計測する口腔(こうくう)機能や運動機能、社会面にかかる質問紙調査)を選定して実施するものです。

東京都西東京市、高知県仁淀川町、千葉県柏市、神奈川県平塚市、埼玉県富士見市等、おおむね65歳以上の住民に呼び掛けて開催している自治体が多いようです。お住まいの地域の開催情報を確認し、一度、参加してみてはいかがでしょうか。

 

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2023年4月号) **禁無断転載**

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