ヒールのせいじゃない! 「外反母趾」の原因は足裏アーチのつぶれ!!
「外反母趾」と聞くと、先が細くヒールの高い靴を履く女性の病気だと考えがちではないでしょうか。
確かにそれも発症要因の1つになりますが、本当の原因は足の骨格構造、足裏のアーチの変化にあるのです。
わが国では少ない足治療専門クリニックの院長として毎年5000人に上る新規患者さんの足のトラブルと向き合い治療を行っている桑原靖先生にお聞きしました。
本当の原因は足裏のアーチ、土踏まずがつぶれること
外反母趾とは、“母趾”つまり足の親指が外側(小指側)に曲がってしまう病気のことです。最初は親指の付け根あたりの痛みから始まり、病状が進むにつれ親指が変形し、隣の人差し指まで曲がっていきます。痛みは指の変形に伴う関節炎の症状ですから、放っておくと関節が壊れて最悪の場合は脱臼してしまうこともあります。
外反母趾は親指の痛みや変形があるため、足先の狭い靴やヒールの高い靴を履くことによる「親指への圧迫」が原因と考えている人が多いと思います。しかし本当の原因は、足裏のアーチ、いわゆる“土踏まずがつぶれること”です。
もともと足裏のアーチには体重や歩行時の衝撃をうまく吸収して足への負荷を和らげる働きがあります。このアーチが足の骨格構造の弱さや長時間の歩行、立ち仕事、老化などでつぶれていくと、足先の指の分岐点の骨(中足骨)が徐々にせり出していきます。この状態が続くことで、外反母趾になっていくのです。
ストレッチや適切な靴選び、インソール使用、外科手術も
治療では、患者さんおのおのの足の骨格構造と痛みや変形度などを診断して、治療法を検討します。靴の履き方や選び方を変えるだけで改善することもありますし、歩き方を見直したり、日々ストレッチを行ったりすることが必要なケースもあります。変形や痛みが強い場合は治療用のインソール(靴の中敷き)を患者さんの症状に合わせて作成し、進行を抑制、痛みの緩和を図ります。
すでに指が大きく変形している場合には手術も選択肢になります。私のクリニックではシェブロン(骨切り)法という手術を行っています。手術時間は片足40〜50分程度で、翌日から歩くことができ、術後1週間程度でデスクワークなら職場復帰も可能です。
症状の改善や予防には、まず「ふくらはぎ伸ばし」から
日本人には足裏のアーチが低い、いわゆる“扁平足”の人が多いため、男女問わず外反母趾になりやすい傾向があります。アーチのつぶれは「ふくらはぎに負担がかかる」「足の指の筋肉が弱くなる」「歩くときに足にかかる圧力の方向がゆがむ」などの問題を引き起こします。そこで、まず試してほしいのが「ふくらはぎを伸ばす」ことです。ふくらはぎを伸ばし足首を柔らかくするだけで、足先への負担を減らすことができます。
今回は基本のふくらはぎストレッチである「壁押し」と「しゃがみ込み」を紹介します。また外反母趾に即効的な効果が期待できるストレッチ「足指ジャンケン」はコラムで紹介します。ただ、どんなストレッチも正しく行わなければ意味がありません。いわゆるごまかしの動き、“代償動作”の入ったストレッチをいくら続けても効果は得られませんので注意してください。
外反母趾などの足のトラブルは、生死にかかわるような緊急性は低いかもしれません。しかし足は基本動作を支える部位ですから、その不調はADL(日常生活動作)を大きく損ないます。痛みを感じたら「靴を履いているのだから仕方がない」などと諦めず、専門医療機関に相談することをおすすめします。

監修:桑原 靖 先生
足のクリニック表参道 院長
埼玉医科大学病院形成外科・外来医長を務め、2013年表参道(東京)に日本初の足専門クリニックを開設。足のトラブルで悩む人を減らすため、診療のほかに書籍、HP動画、SNSなどを使い発信を行っている
Column
外反母趾に効果大!「足指ジャンケン」
監修の桑原先生が外反母趾に効果的なストレッチだと紹介するのが「足指ジャンケン」です。ポイントは「ギュッと思い切り握る」「できるだけ大きく開く」こと。より効果を高めるためには、足指にしっかり負荷をかけることが大切です。

健康マメ知識
足の痛みに不安を感じたら診察を受けましょう
外反母趾かなと思っても、少し痛む程度では医師の診察を受けようとは思わない人が多いでしょう。「足の痛みは“痛みが出て、治る”このサイクルを繰り返します。そしてこのサイクルが徐々に短くなっていきます」と桑原先生。
サイクルが短くなり、痛みを感じる時間が長くなっているなら悪化傾向にあるというということです。不安を感じた時点で医師の診察を受けるのが賢明です。
桑原先生のクリニックのHP内には「足の相談室」という患者さんの悩み相談を受けるページがあります。過去の相談事例も載っているので参考になるはずです。
足のクリニックHP・足の相談室 https://ashi-clinic.jp/cns/

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2026年1月号) **禁無断転載**
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