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2025年09月16日
【すこやか健保☆定期便のご案内】天気が悪いと頭が痛い… その不調、気象病かもしれません(9月号)

天気が悪いと頭が痛い… その不調、気象病かもしれません

天気が変わる前、台風や低気圧の接近時、湿度が高い日に体の調子が悪くなることはありませんか。
こんな症状を表す「気象病」「天気病」という言葉が最近、テレビやネットで取り上げられる機会が増えています。
ご自身のクリニックに「気象病・天気病外来」を設け、天候の変化による不調で苦しむ患者さんの治療に尽力されている久手堅司先生にお聞きしました。

 

気象病発症の主な要因は気圧の変化

気象の変化が原因で体調不良を起こす病気を「気象病(天気病)」と呼びます。症状はめまいや頭痛、吐き気、関節痛、倦怠感、肩や首のこり、手足のしびれ、動悸、不安感など多岐にわたります。最も多い症状は頭痛ですが、ほとんどの人は複数の症状を併発します。下の「気象病チェックリスト」を確認しましょう。①と②にチェックが入った人は気象病の可能性があります。それ以外の項目も気象病で出やすい症状ですから、チェックが多いほど可能性が高くなります。

ただ「気象病」は正式な病名ではなく、原因特定も難しいため、周囲から理解されずにひとりで悩む人が少なくありません。しかし気象病は気のせいでも、こころの病でもなく、気象の変化が引き起こす病気です。年々、気象変動が激しくなり、クリニックの「気象病・天気病外来」に来院される患者数は増加傾向にあります。
気象病の主な原因は「気圧」の低下です。私たちは気圧を耳の奥にある内耳という場所で感知しています。内耳には平衡感覚など体のバランスを保つ役割があり、気圧低下でこうしたバランスが崩れることでめまいや頭痛、吐き気などの症状が現れると考えられます。気圧以外にも「気温」や「湿度」なども気象病発症の要因になります。

 

注意する季節は“梅雨前から”と秋の“台風シーズン”

気象の変化は「自律神経」にも大きな影響を及ぼします。自律神経とは人の意思とは関係なく働く神経で、呼吸や血圧、心拍、消化・排せつなど、生命維持に欠かせない働きを担っています。気圧や気温、湿度などの変化を敏感に感じ取り、常にこうした外的刺激とのバランスを取りながら体を正常に保っているのです。気象病の症状が多岐にわたるのは、自律神経の乱れが原因と考えられます。
気象病の患者さんが増えるのは、5月の連休明けから梅雨の終わりまでと、秋の台風シーズンです。近年は台風の大型化に加え、秋雨前線の活発化や線状降水帯の発生などが繰り返され、10月以降も30℃を超える真夏日になることも少なくありません。秋は夏の疲れがたまり、体力が消耗している時期です。季節の変わり目は自律神経も乱れがちになります。
加えて日中の最高気温と朝晩の最低気温の差が大きいことも、この時期の特徴です。体は常に体温調節を強いられ自律神経が酷使されることになります。気圧とともに「寒暖差」も気象病の大きな要因となっています。

 

自律神経を整え、乱れを起こさないための生活改善を

気象病は子どもから高齢者まで年齢に関係なく起こる病気ですが、男女比では女性が多い傾向があります。気象変動と自律神経の乱れから起きる不調が主な症状のため、治療では自律神経を整えるために生活習慣の改善を提案します。頭痛やめまいなどの症状を緩和する薬や漢方薬を処方することもあります。
気象病は自律神経との関わりが強いため、自律神経を整えることで症状の改善や予防が期待できます。そのために重要なのが「規則正しい生活」「バランスのよい食生活」「適度な運動」です。まずは気軽に続けられる「6つの生活習慣」を始めることをお勧めします。

●早寝早起きはまず“早寝”から
●耳のマッサージはめまいや耳鳴りの改善に
●背筋をまっすぐにしてスムーズな呼吸を
●パソコンやスマホの使用は1回1時間以内に
●倦怠感はラジオ体操など軽く体を動かすことで改善
●睡眠前の入浴でリラックスし質の高い睡眠へ

ただし原因の分からない不調が、全て気象病であるとは限りません。天候が回復しても症状が続いたり、いつもとは違う症状が起こったりひどくなったりする場合は医師の診察を受け、きちんと原因を調べることが必要です。

 

監修:久手堅 司(くでけん つかさ) 先生
せたがや内科・神経内科クリニック院長、医学博士。
2016年9月にクリニック内に設けた「気象病・天気病外来」ではすでに5000名を超える患者の診察を行っている

 

Column

気圧変化が事前に予測できる?!

気象病の原因となる気圧の変化を事前に教えてくれるサービスやアプリを知っていますか。「天気痛予報®」というサービスや「頭痛―る®」などのアプリでは、低気圧の動きから気圧の変化を予測して、気象病の症状が起こりやすい日時を教えてくれます。
気圧の変化や気象病の症状の起こりやすさが分かるため、体調管理ツールとして、また外出予定や仕事の打ち合わせがあるときなどに便利なため利用者が増えているようです。
ただ、今回監修をしていただいた久手堅先生は「気にし過ぎるのは要注意です」と言われます。気象病の症状を恐れるあまり、気圧の変化に神経質になり過ぎると、そのストレスがかえって症状を悪化させることがあるからです。便利なサービスやアプリも適度な使用が大切です。

 

健康マメ知識

気象病に悩む人の8割が女性!

気象病で悩んでいる人は男性よりも女性が圧倒的に多いといわれます。久手堅先生の専門外来でも、来院する患者の7〜8割を女性が占めているそうです。
男性より女性が多い原因は、第一に女性ホルモンと天候変化との関係です。生理や更年期などによる不調は気圧の変動とも関連して症状を重くします。また気圧の影響を受けやすい低血圧が女性に多いこと、貧血や冷え性、むくみなどの症状をもともと持っている人が多いことも一因と思われます。
女性は、気圧を感知する耳の内耳が男性より敏感な傾向にあるともいわれます。そのため少しの気圧変化も敏感に感じ取ってしまい、自律神経に乱れが生じる場合もあるようです。

 

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2025年9月号) **禁無断転載**
すこやか健保は健康保険組合連合会ホームページより一部ご覧いただけます。関連リンクよりご覧ください。

 

問い合わせ先

保健事業チーム TEL:052-880-6201 E-mail:jigyou@chudenkenpo.or.jp