今からでも間に合う!血管の老化にストップをかけよう!
冬は、血管トラブルが増える季節。
寒くなると、冷えによって血管が縮み、血圧が上がりやすくなります。
こうした負担の積み重ねが血管の老化を早め、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクを高めます。
しかし、血管の老化は、生活習慣を少し整えるだけで若さを保つことができます。
60歳を過ぎても血管年齢30歳という池谷敏郎先生に、血管の老化防止についてお話を伺いました。
血管の老化はさまざまな疾患を引き起こす
血管の老化とは、血管の壁が硬くなり、しなやかさを失っていくことです。血管の内側には「血管内皮」という薄い膜があり、これが加齢や生活習慣病に伴い生じる酸化ストレス※により傷つくと動脈硬化が進行します。血管壁に悪玉コレステロールが侵入すると、壁がコブ状に厚くなるため、内腔が狭くなって血液が流れにくくなります。そして、厚く硬くなってしなやかさを失った血管壁は、傷つきやすくなります。動脈硬化の進行によって血管が破れたり詰まったりすることで、脳卒中や心筋梗塞、大動脈疾患などが引き起こされるのです。
例えば、心臓に酸素や栄養を供給する血管である冠動脈が動脈硬化を起こしても、血管がかなり狭くなるまで症状は現れません。ある程度進行して血管が詰まりかけたときに初めて「動くと胸が苦しい」といった違和感が出ますが、その段階ではすでに発作の直前ということも少なくありません。
足の血管が細くなって痛みが出る閉塞性動脈硬化症も、動脈硬化の初期に現れるサインです。動脈硬化は“サイレントキラー”とも呼ばれ、自覚のないまま進行します。詰まる直前にようやく症状が現れ、「疲れかな」「年のせいかな」と見過ごすうちに、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な疾患につながることもあります。特に糖尿病の人は症状が現れにくく、進行しやすいため要注意。気になる方は、血管のしなやかさを測る血管年齢検査や頚動脈エコー検査で、早めに自分の血管の状態を知ることが大切です。
※酸化ストレス(体内で活性酸素が過剰に分泌され、細胞が傷つけられるなど生体にとって有害な作用)

血管は何歳からでも修復できる
血管の老化は誰にでも起こる自然現象ですが、そのスピードは生活習慣で大きく変わります。生活習慣の改善で老化スピードを遅らせるだけでなく、老化した血管は、何歳からでも修復することができます。その鍵を握るのが、血管内皮細胞から分泌される一酸化窒素(以下、NO)。血管は内側から「内膜」「中膜」「外膜」の3層構造からなり、血管内皮細胞は内膜の内側を覆う薄い膜のような組織です。NOには、血流をコントロールしたり血管をしなやかに広げ、傷ついた部分を修復したりする働きもあります。逆にいえば、NOの量が足りなければ、血流が悪くなるといえます。
血管の老化を防ぐには、NOの分泌量を増やすことが大切です。NOの分泌量を増やすために欠かせないのが運動です。特に、有酸素運動は筋肉を動かして血流を増やすことで、血管を内側からマッサージするように刺激し、血管の硬化を防ぎます。正座して立つ、ウォーキング、軽い筋トレなども効果的ですが、池谷先生が考案した「ゾンビ体操」(二次元コードを参照)は、血管マッサージ運動の代表格です。歩くだけでは物足りない人、あるいは運動が苦手な人でも続けられる簡単な体操ですので、ぜひ、チャレンジしてみてください。
池谷先生考案のゾンビ体操はこちらから

血管の老化防止のための4つの基本
血管を健康に保つためには、前述の①適度な運動に加え、②バランスのよい食事③良質な睡眠④ストレス管理の4つが基本です。
食事では、魚の油(EPA・DHA)や抗酸化作用のあるカカオポリフェノール、玉ねぎに含まれるケルセチンなどがNOの分泌を助けます。喫煙はNG。お酒は飲み過ぎなければ問題ありませんが、近年では飲まない人のほうが動脈硬化になりにくい、という研究結果もあります。それでも、ストレスをうまく解消する手段として少量のお酒を楽しむことは、むしろプラスに働くこともあるでしょう。
ストレスは、血管の老化を進める最大の敵です。ストレスを感じると血圧が上がり、血管が収縮します。結果として血管を傷つけ、血栓ができやすくなります。怒りや不安を抱えたまま過ごすのは、自分の血管を犠牲にしているようなもの。イライラしたときは、“自分の血管を守るため”に深呼吸をして、気持ちを整えましょう。感情を上手に切り替えることも、血管の若さを保つ秘訣です。
監修:池谷 敏郎先生
池谷医院 院長、医学博士、総合内科専門医 循環器専門医
Column
コーヒーが血管の若さを保つ!
コーヒーに含まれるクロロゲン酸には抗酸化作用があり、血糖値を整え、血管を若く保つ作用が期待されています。1日3〜4杯のコーヒーを飲む人は、心筋梗塞や脳卒中のリスクが約4割減るという報告もあります。ただし、寝る前のカフェインは眠気を妨げ深い睡眠を阻害するため、夕方以降はカフェインレスコーヒーを選ぶとよいでしょう。
最近注目されているのが、トリゴネリンという成分を含むコーヒーです。
トリゴネリンは脂肪の代謝を高め、エネルギー源として脂肪をため込む白色脂肪細胞を“ベージュ化”させ、褐色脂肪細胞のように脂肪を燃やしやすくする働きがあり、メタボ改善の効果も期待されています。
健康マメ知識
全身の血管の長さは地球2周半!
私たちの体には、約10万キロメートルもの血管が張り巡らされています。これはなんと、地球を2周半する距離に相当します。
血管には動脈、静脈、毛細血管の3種類があります。心臓から送り出された酸素や栄養を全身に届けるのが動脈、不要になった二酸化炭素や老廃物を心臓へ戻すのが静脈です。
その2つをつなぐ血管が、髪の毛の10分の1ほどの細さを持つ毛細血管です。全血管の9割以上を占めるこの毛細血管が、細胞一つひとつに酸素と栄養を届けています。
心臓を出た血液が全身を巡って戻るまで、わずか30〜60秒。私たちの生命は、この壮大な“地球2周半のネットワーク”によって支えられています。
提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2025年12月号) **禁無断転載**
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