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2024年11月15日
【すこやか健保☆定期便のご案内】閉経までに知っておきたい!更年期をラクに過ごすアイデア(11月号)

閉経までに知っておきたい! 更年期をラクに過ごすアイデア

女性ホルモンの分泌量が急減する45歳以降はさまざまな不調に悩まされます。
更年期の女性の体で起こっていることや、更年期症状が重くなりやすいタイプ、将来の更年期に向けて症状の軽減を期待できる取り組みなど、総合診療医の宮沢あゆみ先生に、更年期をラクに過ごす方法を教えていただきました。

 

更年期の女性の体では、何が起こっている?

更年期は、思春期や青年期、老年期と同じように、人生のある一定の幅の年代を指しています。日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後とされており、その前後5年を含む45歳から55歳までを更年期と呼びます。長年分泌されてい
た女性ホルモンが急減するという環境変化に、体が慣れるまでの移行期間ともいえます。
ホルモンバランスが崩れることで、この期間に女性の体は大きく変わり、さまざまな心身の変化が現れます。女性の体は卵巣から分泌される2種類のホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)によって支配されており、このうち更年期症状と深い関係があるのはエストロゲンです。
エストロゲンは骨量の維持やコレステロールの調整などに関与しているため、その減少は骨粗しょう症や心血管系疾患のリスクを高めます。また、ホットフラッシュ(突然のほてり)や発汗、不眠、イライラ、うつ症状などの精神的な不調を感じる人もいます。
これらの症状は、女性の体が突然のホルモンバランスの変化に適応できない過程で起こるものなので、個人差はありますが、体がエストロゲンの減少に順応してくれば次第に治まります。
更年期症状がない人は必要以上に恐れる必要はありません。また、症状がある人も必ず治る時がきます。出口のないトンネルはないので、過度に心配する必要はありません。

 

更年期症状があるときは、どう過ごしたらいい?

更年期には、ホットフラッシュ、発汗、動悸(どうき)、めまい、頭痛、腰痛、関節痛、倦怠感(けんたいかん)、不眠、イライラ、うつ症状など、全身にまたがるさまざまな不快症状が現れることがあります。更年期に差しかかり、月経が不順になり始めた頃にこれらの症状が認められた場合には、「更年期かも?」という視点を持って、まず更年期外来を受診し、症状の交通整理をしてもらうといいでしょう。慌てて複数の診療科を受診しても、原因が分からずドクターショッピングに終わってしまうことが多いからです。更年期外来で他の疾患が見つかれば専門医の紹介を受けることもできるので、結果的には問題解決の近道となります。
更年期の女性は、夫の定年、子供の巣立ち、老後の不安、親の介護など、さまざまな問題を抱えています。こうした環境的な問題が引き金となって症状が重症化する人も多くみられます。更年期症状を重症化させないためには、自分ひとりで問題を抱え込まないで、周囲に助けを求めることが大事です。責任感が強く、完璧主義な人ほど更年期の症状が重くなる傾向があります。倦怠感が強く家事が十分にできない時には、夫に打ち明けて協力を求めましょう。家族に理解してもらうことで、気持ちがラクになり、症状が改善することもよくあります。周囲の協力を得ながら、無理をせずに過ごしましょう。
男性にも更年期症状があります。女性ほど激しくはありませんが、男性ホルモンのテストステロンが低下すると、イライラしたり精神的に不安定になったり、男性機能不全に悩まされることがあります。夫婦でお互いの更年期症状を理解し、支え合うことが大切です。

 

プレ更年期の過ごし方~30代からできる予防策

プレ更年期とは、更年期に先行する30代後半から40代前半にかけての時期を指します。この時期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が不安定になるのと連動して、自律神経も乱れ始めることから、さまざまな不調が現れることがあります。
自律神経とは、体温、血圧、心拍など、私たちの意思とは関係なく自律的に働く神経で、生命活動を維持するために休みなく働いています。プレ更年期に自律神経が乱れ始めると、血圧が上昇したり、頭痛、動悸、めまいなどの症状が現れます。若い頃に比べて基礎代謝も落ちるため、体重が落ちにくくなり、コレステロール値が上昇してくるのもプレ更年期の特徴です。
プレ更年期にできる予防策としては、健康的な生活習慣を身に付けることが重要です。規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけて、自律神経の乱れを改善しましょう。また、ストレスをためないように、普段から自分なりのリラクゼーション法を持っていると良いでしょう。定期的に健康診断を受けることも大事です。プレ更年期の段階から健康管理を意識することで、更年期をスムーズに乗り越えることができます。

監修:宮沢あゆみ先生
あゆみクリニック院長
東京都千代田区神田小川町1-10-3 保坂ビル7F
https://www.ayumiclinic.com/

 

Column

更年期以降の健康管理、気をつけたいこと

更年期以降の健康管理は、バランスの取れた食事と適度な運動が基本となります。
基礎代謝が落ちて体重が増えやすくなり、血圧やコレステロール値も上昇してきますので、塩分は控えめに、高カロリー食も避けて、腹持ちの良い根菜類や、血液をサラサラにするDHA・EPAといった必須脂肪酸を含むマグロ、イワシなどの青魚を積極的に摂るようにしましょう。
脂肪を燃やすにはランニングや水泳などの有酸素運動がお勧めです。それも、最初に筋力トレーニングを行うといいでしょう。なぜなら筋力がアップすると体の基礎代謝が上がり、脂肪が燃えやすくなるからです。有酸素運動はできれば30分以上は続けましょう。運動で最初に使われるのは糖質で、脂肪が燃えるのはその後だからです。
定期的な健康診断を受け、血圧やコレステロール値をチェックすることも重要です。

 

健康マメ知識

イソフラボンと女性ホルモン

更年期には女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少し、ホットフラッシュ、血圧やコレステロール値の上昇、骨量の低下などの症状が現れやすくなります。
そのため、エストロゲンと似た構造を持つイソフラボンを摂取することで、体内でエストロゲンと同様の働きをすることが期待できます。
イソフラボンは、納豆や豆腐、味噌、豆乳などの大豆製品に含まれているので、これらを食事で摂ることをお勧めします。安易にホルモン関連のサプリメントを服用すると、異常にホルモン値が上昇して不正出血などをもたらしたり、ホルモン依存性のがん(乳がんや子宮体がんなど)のリスクにさらされたりすることがあるからです。
イソフラボンの1日の最大摂取目安量は70~75mgとされています。例えば、イソフラボン含有量は、納豆1パック(約50g)で約37mg、豆腐半丁(約150g)で約30 mg、豆乳200mlで約49mgとなります。

※厚生科学研究「食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)」をもとに作成。

 

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2023年11月号) **禁無断転載**
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