健保からのお知らせ

2022/03/14

【すこやか健保☆定期便のご案内】QOL(生活の質)に大きな影響を与えるCKD。どんな病気か、知っていますか? (3月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「QOL(生活の質)に大きな影響を与えるCKD。どんな病気か、知っていますか?」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

QOL(生活の質)に大きな影響を与えるCKD

どんな病気か、知っていますか?

CKD(chronic kidney disease)とは「慢性腎臓病」のことです。

特定の病気を指す病名ではなく腎臓に異常が起こっている状態全般を指しています。

自覚症状を感じにくい腎臓の異常を早期に発見して、透析が必要になる腎不全への進行を防ぐために導入された比較的新しい考え方です。

日本医科大学の名誉教授として後進の指導を行うとともに、CKDの周知と治療に尽力されている飯野靖彦先生にお話を伺いました。

CKD発見のポイントは尿の異常

 健康診断でたんぱく尿や血尿などを指摘されたことはありませんか。こうした尿の異常はCKD(慢性腎臓病)の危険信号です。腎臓はそら豆のような形で、腰の上あたりに左右一つずつあります。主な働きは「老廃物の排泄(はいせつ)」「水分や電解質など体液の量と濃度の調節」「血液のpHの調節」「ホルモンの分泌」などです。

 腎臓内のボーマン嚢(のう)という袋に詰まった糸球体(しきゅうたい)という長い毛細血管が、血液中の老廃物や余分な水分を濾過(ろか)して尿のもとをつくり尿細管を通じて排出します。このボーマン嚢や糸球体、そして尿細管をまとめて「ネフロン」といいます。一つの腎臓にネフロンが100万個ほどあり、1分間に1リットルほど流れ込む血液を濾過して再び心臓に戻し、老廃物を尿として排出します。この濾過、排出の機能が低下する状態とたんぱく尿などの尿異常のどちらかの症状があるのがCKDです。

 「高血圧や糖尿病など生活習慣病がある」「肥満、メタボリックシンドロームである」「腎臓の病気がある」――などの人、ほかにも高齢者、喫煙者、CKDの家族歴がある人なども注意が必要です。特に高血圧や糖尿病、肥満、内臓脂肪の蓄積などによる動脈硬化は腎臓に大きな負担をかけるため、CKDの発症につながりやすいといえます。

腎機能の状況は5ステージに分類

 CKDは初期症状がほとんどなく、症状が現れたときには進行しているケースが多く、一度失った腎機能は回復が難しいのです。悪化すると腎臓移植や透析が必要となり、その後のQOLを大きく損ないます。さらに日本人の死因の上位を占めるCVD(心臓・脳血管疾患)の危険因子にもなるのです。

 CKDの診断基準は、尿や血液の検査で「たんぱく尿が出ている」、あるいは「腎臓の働きを示すGFR(糸球体濾過量)という数値が健康な人の60%以下に低下している」の2つです。

 進行度は5つのステージに分けられます。腎障害はあるがGFRは90以上ある状態がステージ1、60〜89がステージ2で、この段階では自覚症状はほとんどありません。ただGFRが30〜59のステージ3になると、だるさ、むくみ、血圧上昇などを感じる人が多くなります。ここできちんと治療することがとても重要です。GFRが15〜29のステージ4では失った腎機能が回復することはなく、15未満のステージ5では腎臓移植や透析療法が必要になります。

予防と病状改善のため生活習慣の見直しを

 CKDの治療は食事療法、運動療法、薬物療法などさまざまな角度からのアプローチが行われますが、食事や運動を含めた生活習慣の改善がとても重要です。「不規則な食生活」「塩分のとり過ぎ」「暴飲暴食」「運動不足」「喫煙」「ストレス過多」などは高血圧や糖尿病、肥満などにつながりやすく、CKDの発症、進行にも深く関連していることが分かっています。

 食生活に関しては、全てのステージで減塩と適正なエネルギー量の摂取が重要とされます。薄めの味付けと腹八分目を習慣付けましょう。ステージ3になるとたんぱく質制限が、ステージ4以降は水分制限が必要になることもあります。いずれの場合も医師や栄養士の指示に従って食生活を見直してください。

 また、腎臓の病気になると運動はできないと思っている人がいますが、ステージ1、2では運動制限はなく、3でも腎臓に負担がかからない程度の運動は必要です。ただし腎機能の状態によっては制限が必要になることもあります。

 CKDの予防と進行防止のためには、尿やクレアチニンの検査項目のある健診や人間ドックなどを受診しましょう。もし検査で異常が見つかったら自覚症状がなくても専門医を受診し治療を始めることが重要です。

 

監修:飯野靖彦先生

日本医科大学 名誉教授

医療法人社団やよい会 理事長

あだち江北メディカルクリニック 名誉院長

 

Column

進行したCKDの治療法は腎移植か透析療法

 腎臓がほとんど機能しなくなった場合には、腎移植か透析療法が必要です。透析療法には血液透析と腹膜透析があります。

 血液透析は、手首にシャントと呼ばれる透析専用の血管を作り、そこから外部装置(ダイアライザ)に血液を送り濾過を行います。週に2〜3回医療機関に通院し、1回4〜5時間ほどかけて透析を行いますので、仕事や生活での制限が大きくなります。

 腹膜透析は、腹部にカテーテルを埋め込み、腹腔内に透析液を入れ、老廃物や余分な水分を透析液に移動させて、その透析液を体外に取り出す方法です。1日4回、1回30〜45分かかります。自宅や職場でもできる利点がありますが、感染症を引き起こすリスクや、腹膜の透析機能が低下する5〜10年後には血液透析に変える必要があります。

 

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2022年3月号) **禁無断転載**

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