健保からのお知らせ

2022/08/15

【すこやか健保☆定期便のご案内】水ぼうそうのウイルスで発症する帯状疱疹 免疫力の低下が大きな要因に! ( 8月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「水ぼうそうのウイルスで発症する帯状疱疹 免疫力の低下が大きな要因に」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

水ぼうそうのウイルスで発症する帯状疱疹免疫力の低下が大きな要因に

「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という病気をご存じですか。

病名は聞いたことがあるけれど詳しいことはよく知らない、そんな人が多いのではないでしょうか。

帯状疱疹は痛みを伴う皮膚疾患で、免疫力の低下が原因と考えられています。

高齢化が進みストレスが多い社会環境のもと、自然免疫の低下も相まって近年増加傾向にあります。

今回は、ご自身のクリニックで日々治療に当たりながら後進の育成にも力を注いでいる皮膚科専門医の漆畑修先生にお話を伺いました。

潜んでいたウイルスが免疫低下で活性化

 帯状疱疹はその名のとおり〝疱疹〟、つまり水ぶくれのような発疹が帯状に広がる病気で、皮膚に症状が現れる前から神経痛や知覚異常などを感じることが特徴です。原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」。実はこれ、多くの人が子どもの頃にかかる〝水ぼうそう(水痘)〟のウイルスなのです。

 水ぼうそうは一度かかれば免疫ができるため、再感染することはありません。ただ完治してもVZV自体は完全には消失せず、神経細胞の奥底にある神経節に潜んでいます。通常水ぼうそうにかかった人のVZVは自然免疫と自己免疫力によって抑えられていますが、自然免疫と自己免疫力が低下した状態が続くと再び活性化します。

 水ぼうそうにかかったことがない人は帯状疱疹を発症しませんが、わが国では9割以上の人に罹患(りかん)歴があるので、誰もが帯状疱疹を発症する可能性があります。発症率は50歳を境に急増しますが、最近は若い人が発症するケースや、4〜5年で再発する例が増えています。免疫力低下の原因には、加齢をはじめ、疲労、ストレス、感染症、抗がん剤や免疫抑制剤の影響などのほかに、自然免疫の激減が考えられます。自然免疫の激減は2014年からの水痘ワクチン定期接種化による水痘の流行激減が原因です。

痛みと皮膚症状が特徴後遺症にも注意を

 特徴的な症状は、神経の流れに沿って起こる痛み(神経痛)と皮膚症状です。全身どこでも発症しますが、胸や腹、背中、顔など上半身に発症することが多く、体の右側か左側のどちらか片側だけに現れることが特徴の一つです。

 活性化し増殖を始めたVZVは、潜んでいた神経節から神経を伝わって体の表面に出ようとします。その際に神経が炎症を起こして知覚異常や痛みが現れるのです。その後、皮膚に赤い斑点が現れて水ぶくれに変化し、こうした症状が帯状に広がっていきます。水ぶくれはやがて破れてびらん状態から、かさぶたになり3週間ほどで消失します。

 皮膚症状とともに起こる痛みは、軽いものから「ピリピリと焼けるような」「チクチクと針を刺されるような」「ズキズキと締め付けられるような」などと表現される強い痛みまでさまざまです。通常、こうした痛みは皮膚症状が治っていくとともに治まります。

 ただ皮膚症状が治ったのに3カ月以上たっても強い神経痛が残るケースがあります。これが「帯状疱疹後神経痛」です。50歳以上では半年まで続くケースが10%、1年まで続くケースは4%といわれています。VZVにより神経が損傷したために、皮膚症状が治まった後も痛みが継続すると考えられ、糖尿病の方はよりなりやすいといわれています。衣服が触れたり風を感じたりしただけで痛みを感じる〝アロディニア〟と呼ばれる状態になると、QOL(生活の質)が大きく損なわれます。

 ほかにも皮膚症状が強い場合は色素沈着や瘢痕(はんこん)が、目の近くに発症した場合は角膜炎や結膜炎、視力障害などが残ることもあるので、注意が必要です。顔面神経麻痺(まひ)と耳の帯状疱疹などが特徴的な症状のラムゼイ・ハント症候群などの後遺症を引き起こすこともあります。

治療は抗ウイルス薬や鎮痛薬を組み合わせて

 帯状疱疹に対しては、主に内服薬による治療が行われます。

 皮膚症状には抗ウイルス薬を使い、活性化しているVZVの増殖を抑えます。症状が重篤だったり免疫力が極端に低下したりするケースでは、入院して点滴による治療が行われることもあります。

 痛みには、アセトアミノフェンや非ステロイド抗炎症薬などの鎮痛薬、ビタミンB12、帯状疱疹後神経痛治療薬などが使われます。痛みが激しい場合には、麻薬系の弱オピロイド鎮痛薬が処方されることもあります。

 帯状疱疹は免疫力の低下が原因となるケースが多いので、発症したら無理をせずに栄養と睡眠を十分に取り、患部を温めて静養することが大切です。帯状疱疹後神経痛やほかの後遺症を防ぐためには、早期に発見、治療を行うことが重要です。50歳以上の人は帯状疱疹予防ワクチンの接種もできます。気になる症状を感じた場合には皮膚科専門医に相談してください。

監修:漆畑 修先生

医療法人社団アルテミデ理事長

宇野皮膚科医院院長

東邦大学医学部客員教授

Column

帯状疱疹は人にうつるのか

 患者さんから「帯状疱疹は家族にうつりますか?」と聞かれることがあります。帯状疱疹は各自の神経節に隠れている水痘・帯状疱疹ウイルスが原因ですから、家族や周りの人にうつることはありません。でも、水ぼうそうにかかったことがない乳幼児や子ども、また水痘ワクチンを接種していない人には水ぼうそうとしてうつる可能性があります。

 水ぼうそうにかかったことがない成人が水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると水ぼうそうが重症化しやすいので注意が必要です。特に水ぼうそうにかかったことがなく、予防ワクチンも未接種の妊婦さんが家族にいる場合は注意が必要です。妊娠初期に感染すると、流産したり胎児が先天性水痘症候群にかかったりする可能性があります。

健康マメ知識

帯状疱疹予防ワクチンの接種について

 帯状疱疹の予防には免疫力を低下させない生活を心掛けることが大切ですが、これは難しい課題です。現在、発症予防の手段として、50歳以上の人は帯状疱疹予防ワクチンを接種できます。接種できるワクチンは弱毒化したウイルスを用いた「水痘ワクチン」と、ウイルスを不活性化させた「帯状疱疹ワクチン」の2つです。

 水痘ワクチンは水ぼうそう予防として子どもの接種に使われるものと同じで、帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹専用です。任意接種のため費用は全額自己負担となり、前者が1万円程度、後者は5万円程度と比較的高額なため、接種時に助成が行われる自治体もあります。帯状疱疹予防ワクチンの接種は、接種の必要性や効果、経済的な問題など、主治医とよく相談してから行いましょう。

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2022年8月号) **禁無断転載**

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