健保からのお知らせ

2021/09/14

【すこやか健保☆定期便のご案内】整腸作用や免疫機能の活性化を促す”乳酸菌”で健康生活をつかむ!(9月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「整腸作用や免疫機能の活性化を促す〝乳酸菌〟で健康生活をつかむ!」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

整腸作用や免疫機能の活性化を促す〝乳酸菌〟で健康生活をつかむ

「乳酸菌」と聞いて、思い浮かべることというと……。

  ヨーグルトやチーズに含まれている、便秘の改善効果がある、なんとなく健康に役立ちそう、などではありませんか。

乳酸菌は、私たちが健康に過ごすために欠かせない力を秘めている微生物です。

今回は、微生物の研究をされている東洋大学生命科学部の三浦健先生に、乳酸菌の働きや効果などその魅力について伺いました。

乳酸菌は乳酸を生み出す菌の総称

 人の腸内には数百種類以上、約100兆個の細菌がすんでいます。これを腸内細菌といいます。腸内細菌は、ガスや腐敗物質を生成する〝悪玉菌〟、腸の環境次第で有益にも有害にもなる〝日和見菌〟、そして体に良いとされ悪玉菌の増殖を抑える〝善玉菌〟の3つに分けられます。善玉菌の代表格が「乳酸菌」です。

 乳酸菌という名称は、実は特定の細菌を指す言葉ではありません。炭水化物などに含まれる糖を発酵させて、乳酸を生み出す細菌を総称して乳酸菌と呼びます。乳酸菌は棒状の「乳酸桿菌(かんきん)」と球体の「乳酸球菌」に分けられます。動物の乳糖をエネルギー源とする「動物性乳酸菌」と、植物のブドウ糖、果糖、ショ糖などを利用できる「植物性乳酸菌」に分類されることもあります。

 乳酸菌は現在、ブルガリア菌、サーモフィラス菌、カゼイ菌、ガセリ菌など400種以上見付かっていて、その働きもそれぞれ異なります。よく耳にするビフィズス菌は、乳酸菌に分類される場合も多いのですが、学術的には乳酸菌とは異なる細菌です。ビフィズス菌も乳酸菌と同じ善玉菌ですが、乳酸だけでなく酢酸も生成します。また乳酸菌が小腸に多くみられるのに比べて、ビフィズス菌はほとんどが大腸にすみ着いています。

免疫の活性化で感染症やがんの予防にも

乳酸菌は、人の健康にどんな影響を与えるのでしょうか。

 まずは「整腸作用」です。悪玉菌はアルカリ性を好み、酸性を嫌います。反対に善玉菌は酸性を好み、アルカリ性を嫌います。乳酸菌をはじめとする善玉菌は、乳酸や酢酸などを生成することで腸内を酸性に保ち、善玉菌優位の環境を作ります。こうして悪玉菌の働きや増殖を抑制するわけです。結果、善玉菌の働きが活性化され、腸の働きがよくなることで便通改善効果などにつながるのです。

 さらに注目されているのが「免疫機能の活性化を促す効果」です。免疫とは細菌やウイルスから体を守る防御機能のことで、乳酸菌の中にはこの機能を活性化させ、免疫力をアップさせる作用を持つものが確認されています。そのため感染症やがんなどの抑制に対する効果が期待されています。

 ほかにも「消化・吸収を促進する」「コレステロール値や血圧の上昇を抑える」などの効果もあることが分かってきました。

 乳酸菌は人の体内だけでなく、自然界にも広く生息しています。乳酸菌が糖を分解して乳酸を生み出す働きを「乳酸発酵」といいます。乳酸発酵は食品の保存性や栄養価をアップさせます。この働きを利用して作られているのが、ヨーグルトやチーズ、みそ、しょうゆ、漬け物などの発酵食品です。

食品からの乳酸菌の摂取は継続が重要

 乳酸菌はヨーグルトやチーズ、みそ、しょうゆ、漬け物などから手軽に摂取することができます。食品から摂取し生きたまま腸に届く微生物、およびそれを含む食品を「プロバイオティクス」といいます。乳酸菌はプロバイオティクスの代表選手です。乳酸菌の栄養源となるオリゴ糖や食物繊維などプロバイオティクスの増殖を助けるものを「プレバイオティクス」といいます。

 食品に含まれる乳酸菌には、生きている菌(生菌)と熱処理がされている菌(死菌)があります。しかし、生菌も腸に届くまでに胃酸や胆汁などにより多くが死滅してしまいます。この点では、動物性乳酸菌より植物性乳酸菌の方が酸に強いため、生きて腸に届く割合が多いと考えられています。ただ死滅した乳酸菌も無駄にはなりません。悪玉菌の排出や腸内にすむ乳酸菌の栄養源となり、腸内環境の改善に役立ちます。

 人の腸にすみ着いている細菌の種類や数は個人差があり、またある程度決まっているため、食品から摂取した乳酸菌が生きたまま腸にたどり着いたとしても長期間腸内にすみ続けることはできません。そのため乳酸菌の力を効果的に引き出すためには、乳酸菌だけでなく、栄養源となるオリゴ糖や食物繊維などを毎日継続して摂取することが重要です。乳酸菌を毎日の食生活に上手に加えて、健康生活を手に入れましょう。

監修:三浦健(みうら たけし)先生

東洋大学 生命科学部応用生物科学科 准教授

 

乳酸菌は取り過ぎても大丈夫?

 乳酸菌にはいろいろなメリットがありますが、取り過ぎによるデメリットはないのでしょうか。

 「乳酸菌に関する研究の中でデメリットはあまり見付かっていません。毎食乳製品を食べたとしても問題はないと思います。乳酸菌は、私たちの健康生活に役立つものですから、積極的な摂取は健康を後押ししてくれると思います」と三浦先生。

 注意したいのは乳酸菌自体の取り過ぎではなく、乳酸菌を含む食品の食べ過ぎです。こうした食品には、乳酸菌のほかにもさまざまな栄養素や成分が含まれています。食べ過ぎでカロリーや塩分などを取り過ぎてしまわないように気をつけましょう。適量を守り、継続して摂取することが、乳酸菌の力を最大限に引き出す秘訣です。

健康マメ知識

個人差がある〝腸内フローラ〟必要な菌もそれぞれ

 人の腸の中にはたくさんの種類の細菌が存在し、顕微鏡で見るとあたかもお花畑(flora)のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれます。実はこのフローラ、菌の構成や成育状況は人によって異なります。また年齢や食習慣、その他の生活習慣、そのときの体調やストレスなどによっても変化します。自分にとって、今どんな乳酸菌が必要なのかは人それぞれです。

 特集の三浦先生は「どんな食品が今の体に合っているのかは、食べてみないと分かりません。便秘や下痢が良くなった、血圧が安定した、体調がいいと感じるなど、自分の体と対話しながら自分に合う乳酸菌を探してください」と話します。乳酸菌のメリットを利用するためには、自分の体と向き合いながら、上手に取り入れる必要がありそうです。

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2021年9月号) **禁無断転載**

すこやか健保は健康保険組合連合会ホームページより一部ご覧いただけます。関連リンクよりご覧ください。

 

問い合わせ先

 保健事業チーム TEL:052-880-6201 E-mail:jigyou@chudenkenpo.or.jp