健保からのお知らせ

2022/06/15

【すこやか健保☆定期便のご案内】寝たきりを招いた〝関節リウマチ〟も治療法の進歩でコントロールできる病気に! (6月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「寝たきりを招いた〝関節リウマチ〟も治療法の進歩でコントロールできる病気に」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

「寝たきりを招いた〝関節リウマチ〟も治療法の進歩でコントロールできる病気に」

関節が変形し日常生活に深刻な影響を引き起こす関節リウマチは、かつて寝たきりに至る病気として恐れられていました。

しかし新しい薬の開発など治療法の進歩によって、現在はコントロールできる病気となっています。

関節リウマチの基礎知識と治療の今を、聖マリアンナ医科大学で膠原病(こうげんびょう)やアレルギー疾患の治療、研究に尽力されている川畑仁人先生に伺いました。

関節リウマチは自己免疫の暴走で起こる

 関節の腫れや痛みが主症状として現れる関節リウマチは、わが国では0.5〜1%の人が罹患(りかん)する比較的ポピュラーな病気です。発症年齢は40〜50代が中心で、男性より女性に多いという特徴があります。

 リウマチは膠原病の一種で、本来ならウイルスや細菌などから体を守る自己免疫機能が異常を起こし、関節やその周囲の組織を攻撃してしまうのです。ただ、その原因は分かっていません。病状が進行すると、関節の腫れや痛みに加え関節が変形を起こすようになり、QOL(生活の質)を大きく下げる恐ろしい病気でした。しかし現在では薬の開発や治療法の進歩によって、症状や検査値が改善された寛解(かんかい)または低疾患活動性と呼ばれる状態にコントロールできるのです。

軟骨、靱帯(じんたい)、そして骨の破壊へと進行する

 リウマチは関節の腫れや痛み、起床時の体のこわばりなどが初期症状として現れます。多くは手足の指や手首などの関節に左右対称に起こりますが、肘や膝、肩や足首の関節に症状が現れることもあり、倦怠(けんたい)感や食欲低下などの全身症状や、肺や目、皮膚など関節以外に症状が現れることもあります。

 関節には軟骨があり、骨同士の摩擦を防ぐクッションの役割をしていますが、この軟骨をつないでいるのが滑膜(かつまく)と呼ばれる組織です。関節リウマチの症状は、滑膜の炎症から始まります。滑膜から始まった炎症は徐々に軟骨や靭帯、骨へと広がり、組織を破壊していきます。これは異常を起こした滑膜組織から、炎症を悪化させるサイトカインやタンパク分解酵素などの物質が発生するためと考えられています。

 関節リウマチの進行速度はゆっくりですが、やがては関節の軟骨や骨までが破壊されていくので、炎症が滑膜内にとどまっているうちに治療を開始すれば、関節の変形などを抑制することができます。

 検査では、診断や病気の型の判断に有用なリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値、炎症の度合いを測る血沈(けっちん)やCRP(C反応性タンパク)などを調べるため血液採取を行います。併せて関節の状態を調べるX線検査や関節超音波検査、MRIによる検査なども行い、症状と検査結果を米国リウマチ学会の分類基準を参考に診断を確定します。

薬の進歩が大きな治療効果をもたらす

 症状や進行度、患者さんの希望などを総合的に判断し、薬を基本に、必要な患者さんにはリハビリテーションや手術療法も併用しながら治療をしていきます。特に薬による治療は近年大きな変化を遂げています。まず免疫の暴走を抑える抗リウマチ薬が使われ、併用して炎症や痛みを抑えるための非ステロイド性炎症鎮痛薬やステロイドが使われます。新しく開発された生物学的製剤や、JAK阻害剤など特定のタンパク質(酵素)だけを攻撃する分子標的薬と呼ばれる治療薬も大きな効果を上げています。

 リハビリでは運動療法や理学療法などで関節機能の改善や維持、筋力の向上などを目指します。理学療法士の指導の下、継続して行うことで痛みや炎症が和らぐケースも多くみられます。

 歩行困難に陥っている、しっかり薬による治療をしても痛みが強いなどのケースでは手術が検討されます。手術法には、壊れた関節を人工関節に置き換える「人工関節置換術」、関節を適切な角度に固定する「関節固定術」などがあります。

 関節リウマチの治療は腫れや痛みなどの症状や抗体の有無、進行度などを勘案して総合的に行われるため、経験豊富な専門医による診断、治療が重要です。異常を感じたら、「リウマチ科」「膠原病科」などがあり専門医の診察が受けられる医療機関を受診し相談してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Column

子どもでも関節に腫れや痛みが起こることも

 リウマチというと中高年の病気と思いがちですが、子どもに発症するケースもあります。その代表的な病気が「若年性特発性関節炎(JIA)」です。以前は若年性慢性関節炎や若年性関節リウマチとも呼ばれていましたが、現在は世界中でこの病名に統一されています。

 16歳未満で発症し、原因不明の慢性関節炎が6週間以上続きます。痛みや腫れだけでなく、発症部位が赤くなる、熱を持つ、動かしにくいなどの症状も現れます。成人と同様に早めに適切な治療を行わないと関節の破壊が進行し、日常生活に困難を来すことがあります。

 わが国の若年性特発性関節炎の患者さんの割合は、小児の人口10万人当たり10〜15人といわれています。この病気は国の難病に指定されていますので、医療費の助成が受けられます。

監修:川畑仁人先生  聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科 教授

健康マメ知識

膠原病(こうげんびょう)って、どんな病気?

 書籍やテレビなど、また病院の診療科名でも見聞きする「膠原病」という病気をご存じですか。実は一つの病名ではなく、自己免疫機能の異常によって全身の皮膚や骨、関節、筋肉などに炎症が起きる病気の総称です。関節リウマチは膠原病の中でも患者数が最も多い病気です。

 関節リウマチのほかにも結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、ベーチェット病などさまざまな病気があります。

 いまだ発症原因や治療法が見つからず、国の難病に指定されている病気も多く含まれています。ただ徐々に研究が進められ、今後さらに遺伝子レベルの研究が進むことで、原因や治療法が見つかることが期待されています。

 

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2022年6月号) **禁無断転載**

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