健保からのお知らせ

2022/1/14

【すこやか健保☆定期便のご案内】増大する医療・介護費用 一刻の猶予も許されない「構造改革」と医療費の適正化!(1月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「増大する医療・介護費用  一刻の猶予も許されない『構造改革』と医療費の適正化」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

増大する医療・介護費用 一刻の猶予も許されない「構造改革」と医療費の適正化

600万人を超える「団塊の世代」(1947年~49年生まれ)は今年から順次、後期高齢者に移行します。

ところが、増大する医療費や介護サービス費用を誰がどう負担するのか、サービス提供体制をどう確保するのかといった「2025年問題」への対応は道半ばといった状況です。

現役世代の負担軽減を目的とした全世代型社会保障制度への転換に向け、高齢者の給付と負担のあり方を見直す「構造改革」の実施や医療費適正化の推進は一刻の猶予も許されません。

首相の関心は「賃上げ」に

 歴代最長を記録した安倍政権から短命に終わった菅政権を経て、昨年10月に岸田政権が誕生しました。この間、医療制度改革は後期高齢者のうち単身者で年収200万円以上が対象になる窓口負担2割引き上げや、少子化対策として不妊治療の保険適用拡大などが本決まりとなりました。

 しかし、健保連や経済界が提起した市販薬で代用できる医薬品(花粉症治療薬など)の保険適用除外や、外来受診時の定額負担(ワンコイン制)導入を巡る論議は〝お蔵入り〟したままです。岸田首相の関心はもっぱら「成長と分配の好循環」実現の先駆けとして、看護師や介護職、保育士などの賃金引き上げにあるようです。

 社会保障制度改革は安倍政権時の枠組みを改組した「全世代型社会保障構築会議」(座長=清家篤日本私立学校振興・共済事業団理事長)と、「公的価格評価検討委員会」(座長=増田寛也日本郵政社長)に引き継がれましたが、枠組みとしては小さ過ぎます。構造改革を志向するのであれば、「給付と負担のあり方」や「薬価改定と保険適用」、「病床機能の再編」といった形で分科会や小委員会を設置するやり方もあるはずですが、岸田首相の構造改革に関する問題意識は所信表明演説などをみる限り、希薄と言わざるを得ません。

2割負担引き上げは「焼け石に水」

 新型コロナウイルス感染拡大は日本社会を大きく変容させました。健保組合財政は景気の低迷に伴い保険料収入が減少する一方、コロナ感染を恐れた受診控えの影響による医療費の減少により一時的な回復がみられたものの、2025年問題の入り口に当たる22年度からは高齢者への支援金増加により急速に悪化します。健保連の試算によると、22~25年度までの4年間で支援金は累計で3兆2000億円の増加が見込まれるのに対し、窓口負担2割引き上げによる財政抑制効果額は累計で10分の1以下の3100億円にとどまります(図1参照)。

 現役世代の負担軽減が「焼け石に水」に過ぎない中、2割負担引き上げ時期を最も早い今年10月に設定するのはもちろん、2割負担対象者の拡大に向けた議論も避けて通れないのは明らかです。また、後期高齢者医療制度で窓口負担3割となっている現役並み所得者の給付部分にも1~2割負担者の給付費と同様、50%(約4300億円)の公費を投入して現役世代の負担軽減を図るべきです。政府は18年度の市町村国保運営の都道府県移管に際しても、国が負担すべき都道府県への支援金の一部を健保組合などに〝肩代わり〟させてきた経緯があります。しかし、サイレント・マジョリティーたる民間サラリーマンに負担増を強いるという安易かつ小手先の手法は、健保組合の存続を危うくするだけです。

同床異夢の「かかりつけ医」

 医療の効率化を通した医療費適正化も2025年問題への対応のカギを握る取り組みです。健保連が昨年10月に発表した新提言は、安心・安全な医療の構築や医療の効率化に向け、「かかりつけ医」機能や要件を法令等で明確化するよう求めています(図2参照)。国民の大病院志向が定着した中で、かかりつけ医が休日や夜間も含め初期診療を担う体制づくりを進めるのが狙いで、日本医師会や病院4団体も13年に「かかりつけ医」機能に関する提言をまとめています。

 とはいえ、両者の考え方は同床異夢の関係にあり、診療報酬上の取り扱いも含む制度化は容易ではありません。低調なオンライン診療の普及拡大をはじめ「かかりつけ医」機能について、医療関係団体による腹蔵ない議論の積み重ねが求められます。

金野充博(こんのみつひろ)

国際医療福祉大学総合教育センター教授

Column

低調なオンライン診療

 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに注目された「オンライン診療」は2022年度から制度化されますが、昨年6月時点の普及率は約6%、再診のみ対応する医療機関を合わせても15%程度にとどまっています。

 「対面診療」が基本という理由以外では、診療報酬の低さや機器導入に伴う初期費用の発生などが壁になっています。しかし、患者の利便性に配慮したオンライン診療はICT社会の要請でもあり、普及拡大に向けた仕組みづくりは急務です。

 

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2022年1月号) **禁無断転載**

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