健保からのお知らせ

2022/02/15

【すこやか健保☆定期便のご案内】もしかするとその不調、甲状腺の異常が原因かもしれません! (2月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「もしかするとその不調、甲状腺の異常が原因かもしれません」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

もしかするとその不調、甲状腺の異常が原因かもしれません

「甲状腺」はどこにあり、どんな働きをしているのか、ご存じですか。

聞いたことはあるけどよく分からない、働きは知らない――そんな人が多いのではないでしょうか。

甲状腺は体の成長や新陳代謝などに欠かせないホルモンを作り出している臓器です。

今回は、大学病院において初めて甲状腺センターを創設し、外科や内科ほか複数の診療科を集めて総合的な治療に取り組む昭和大学横浜市北部病院の福成信博先生に、甲状腺の働きや病気などについてお話を伺いました。

甲状腺ホルモンの異常が不調の原因に

 甲状腺は首の中央、喉仏の下にある、蝶が羽を広げたような形をしている臓器です。ここで作られているのが「甲状腺ホルモン」です。

 甲状腺ホルモンには、食事から摂取した栄養素をエネルギーに変えて体の新陳代謝を活発にする、交感神経を刺激して脈拍や体温、心臓の動きなどを調整する、皮膚の代謝を活発にする――などの重要な働きがあります。子どもの成長や発達、大人の健康維持や脳の働きなどに欠かせないホルモンです。

 甲状腺になんらかの異常が起こると、甲状腺の腫れが現れることもあります。通常は首を触っても形は分かりませんが、腫れが進行すると外から手で触っても分かるようになります。

 甲状腺ホルモンが正常に作られなくなると、さまざまな異常が現れます。

 過剰に作られることで発症するのが「甲状腺機能亢進(こうしん)症」で、動悸(どうき)や息切れ、イライラ感などが現れます。逆に不足することによって発症するのが「甲状腺機能低下症」で、気力の減退、眠さ、皮膚の乾燥などの症状が現れます。両方に共通するのは体のだるさ、疲労感、手足のむくみ、月経不順などです。甲状腺にしこりができる「甲状腺腫瘍」も多くみられる病気です。

女性に多く発症するバセドウ病

 医療機関では、問診、触診とともに、首の周りの超音波(エコー)検査と血液検査で甲状腺の腫れやホルモンの分泌量異常を確認し、診断を確定します。甲状腺腫瘍が疑われる場合には、穿刺(せんし)による細胞診や甲状腺シンチ、CT検査などが行われることもあります。

 甲状腺機能亢進症で多くみられるのは、20〜30歳代の女性を中心に発症する「バセドウ病」です。主な症状に甲状腺の腫れ、動悸、息切れなどのほか、眼球の突出、食欲亢進、体重減少があります。

主な治療法は次の三つです。

主な三つの治療法

◎甲状腺ホルモンを抑える薬を服用する薬剤療法

◎放射性ヨード剤を服用して甲状腺の細胞を

 減少させるアイソトープ治療

◎過剰分泌している甲状腺を切除する手術療法

 それぞれにメリット、デメリットがあるので、症状や治療後のQOL(生活の質)、患者の希望などを考えて選択されます。

 甲状腺機能亢進症にはバセドウ病のほかにも、「無痛性甲状腺炎」や「亜急性甲状腺炎」などがあります。

橋本病、腫瘍にも十分注意を

  甲状腺機能低下症の代表的な病気は「橋本病」です。40歳以上の女性に多いとされ、甲状腺の腫れや手足のむくみなどとともに便秘やもの忘れなどの症状が現れます。甲状腺に慢性の炎症が起きることで発症する自己免疫の病気に分類されます。多くの場合ホルモン値が大きく減少することはなく、経過観察か、不足分をホルモン剤で補う治療が行われます。海藻などヨードを多く含む食品を食べ過ぎると機能低下を起こしやすくなるので注意が必要です。

 もう一つ注意が必要な病気が「甲状腺腫瘍」です。あまり心配のいらない良性腫瘍がほとんどですが、まれに悪性腫瘍(がん)の場合もあります。ただ悪性腫瘍でも、比較的おとなしく予後もいい甲状腺乳頭がんがほとんどです。治療は経過観察を行い、進行度に応じて手術が行われます。手術では甲状腺切除とリンパ節郭清(かくせい)(全てを取ること)が行われますが、切除などの範囲は病状によって変わります。

 このように甲状腺の病気は三つに大別されますが、初期症状では気付きにくいのもこの病気の特徴です。甲状腺の異常で起こる体のだるさ、疲労感、イライラ感、手足のむくみ、月経不順などの症状は、加齢・過労・ストレス、また更年期障害、高血圧など他の病気の症状と区別がつきにくいのです。こうした何となく体調が悪い、いわゆる〝不定愁訴(ふていしゅうそ)〟が続いた場合は、甲状腺の病気が原因かもしれません。内分泌科や甲状腺外来などを受診・相談するとよいでしょう。

監修:福成信博(ふくなりのぶひろ)先生

昭和大学横浜市北部病院 副院長

甲状腺センター長 外科教授

Column

甲状腺ホルモン分泌のメカニズム

 甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の二つがあります。このホルモンの分泌量の調整は、脳の下垂体から出される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が行っています。甲状腺ではT4が主に生成されていますが、T4が肝臓などでT3に変わり、全身の新陳代謝を促す働きをしているのです。

 通常、一定量のTSHが分泌されることで甲状腺ホルモンのT4、T3の量が正常に保たれています。甲状線に異常が起こりT4、T3の分泌が異常に亢進されると、脳の下垂体はTSHの分泌を抑えることでT4、T3の分泌も抑えようとします。逆にT4、T3の分泌が減少するとTSHの分泌を増やしてT4、T3の分泌も増やそうとします。

 これをフィードバック機構といい、このメカニズムによって甲状腺から出されるホルモン量は一定に調整されているのです。

健康マメ知識

女性に多く発症する甲状腺の病気

 20〜30歳代の女性に多いバセドウ病、40歳以上の女性に多い橋本病など甲状腺の病気は男性に比べて5倍ほど女性に多いといわれています。

 バセドウ病では動悸(どうき)が激しく常に運動をしているような状態が続きます。20〜30歳代の女性が心配するのは妊娠や出産などに対する影響です。月経不順などの症状が現れることがありますが、薬できちんとコントロールできれば妊娠に影響はありません。ただ病気の治療を行わずに妊娠した場合には流産や早産のリスクが高くなるといわれています。

 橋本病は40歳以上の女性に多く、症状も体のだるさ、疲労感、手足のむくみ、月経不順など更年期症状に似ていて好発年齢も近いので「まだ早いけど更年期かな」と勘違いして治療機会を逃すケースもあります。症状が長引くようなら一度医療機関を受診することをお勧めします。

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2022年2月号) **禁無断転載**

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