健保からのお知らせ

2021/07/15

【すこやか健保☆定期便のご案内】お尻の悩み、恥ずかしがる必要はありません。〝痔〟は生活習慣病の一つです!(7月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「お尻の悩み、恥ずかしがる必要はありません。〝痔〟は生活習慣病の一つです!」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

お尻の悩み、恥ずかしがる必要はありません。〝痔〟は生活習慣病の一つです。

あなたは〝痔〟にどんなイメージを持っていますか?

「中年男性に多い」「手術しないと治らない」

「死に至る重い病気ではない」

「恥ずかしくて人に言えない」などではありませんか。

実は〝痔〟という病気は、誰もがかかりうる生活習慣病なのです。

でも羞恥心や治療に対する恐怖、命にかかわることはない、などの考えから治療せずに放置してしまう人が多いのが現状です。

今回お話を伺うのは、ご自身の診療所で理想的な診察と治療を目指している痔の名医、岩垂純一先生です。

痔は「いぼ」「きれ」「あな」の3種類

 新型コロナウイルスのまん延で私たちの生活環境は激変しました。3密の回避、テレワークやリモート会議の導入、これらに伴う外出の激減、運動不足の慢性化、経験のないストレスなど…。この生活、実は痔の要因を多く含んでいるのです。

 まず、お尻の構造から確認しましょう。肛門は口から始まる消化管の最終に位置し、ギザギザの歯状線で直腸とつながる長さ15〜20ミリほどの部分です。周囲には開閉の役割を担う括約筋(かつやくきん)が二重にあり、自分の意思ではコントロールできない「内括約筋」と、自分の意思で動かせる「外括約筋」に分かれます。また内括約筋の内側には肛門をピタリと閉じるのに役立っているクッション部分があります。このようにお尻は、狭い空間に異なる性質の組織が混在する複雑な構造をしているため、少しのトラブルでも異常を発症しやすいのです。

 肛門の病気、つまり痔は大別すると、痔核(いぼ痔)、裂肛(れっこう)(きれ痔)、痔瘻(じろう)(あな痔)の3種類です。まず痔核は、肛門への負担、つまり排便時に長時間いきむことなどでクッション部分が大きくなり発症します。痔核には、直腸側にできる〝内痔核〟と肛門部にできる〝外痔核〟があり、男女ともに痔の患者の半数以上を占めています。

 裂肛は、便秘や下痢などにより肛門の皮膚が切れたり裂けたりして起こります。出血と共に激しい痛みを伴うのが特徴で、男性より女性に多い傾向があります。進行すると傷口の周囲に炎症が起き、肛門ポリープや〝見張りいぼ〟と呼ばれる突起物ができることがあります。

 痔瘻は、歯状線にあるくぼみ(肛門陰窩(いんか))に便が入り込んで細菌感染を起こし発症します。くぼみにうみがたまると、肛門の周囲が腫れてズキズキ痛み、38度以上の高熱が出ます。この状態を肛門周囲膿瘍といいます。このうみが出口を求めてトンネルを作り、直腸肛門と交通したトンネルができたのが痔瘻です。痔瘻があな痔と呼ばれるゆえんで、男性に多い傾向があります。

治療の基本は生活改善。必要に応じ薬や手術を選択

 痔の治療というと手術を思い浮かべる人が多いと思いますが、一番重要なのは生活習慣の改善です。痔核や裂肛では排便時のいきみ、便秘や下痢などが大きな原因になるので、まずはトイレ時間を短くすることが大切。いきまなくても便器に腰を下ろしている姿勢自体が肛門のクッションに負担を与えるので、新聞やスマホを持って長時間座るなどはもってのほかです。

 痔核や裂肛の治療では、痛みや腫れ、出血を抑える外用薬、炎症を抑える内用薬などが使われます。患者のQOLを大きく損なう場合は手術も選択肢に入ります。痔瘻は、トンネルができる前の肛門周囲膿瘍の段階なら、たまったうみを出す処置が外来でできます。その後は薬物療法で炎症を抑えます。痔瘻になると、うみのトンネル部分を切り開く、うみのトンネルをくりぬくなどの手術が必要になります。

痔にならない、再発しない生活習慣とは

 痔の主な原因は、排便時のいきみやそれに伴う刺激、便秘、下痢などですが、重い物を持ち上げたり、中腰で作業したりする腹圧のかかる動作、出産、香辛料の取り過ぎなども発症の要因になります。

 「生活習慣の改善ポイント」を紹介します。

 痔は誰にでも起こりうる生活習慣病の一つです。痔で苦しまないために、改善ポイントを参考に「お尻にやさしい生活」を今日から始めましょう。

監修:岩垂純一先生

医学博士、肛門科 岩垂純一診療所所長

Column

急な痛みや出血、すぐにできる対処法は?

 急な痛みに襲われたときは、まず安静にします。体を動かすと肛門部に力が加わるので、きっかけになった動作をやめ、横になって休みます。

 対処法は、痛みだけなら「温める」、熱を持っているなら「冷やす」が基本です。温めるときは、使い捨てカイロや蒸しタオル、座浴(洗面器に湯を入れてお尻をつける)などで、冷やすときは市販の冷却シートや氷のうなどを使うといいでしょう。痛みが収まったら、血行改善や患部を清潔に保つために入浴がお勧めです。

 出血の場合は、排便時なら洗浄便座や座浴で血を洗い流して、横になって休みます。慌てる必要はなく、安静にしていれば出血は止まります。ただ出血の原因は痔だけとは限らないので、収まったら早めに医療機関を受診し、原因を確かめることが大切です。

ほっとひと息、こころにビタミン

精神科医 大野 裕

できることに目を向ける

新型コロナウイルス感染症の拡大が始まって1年半が経ちました。この間、自粛生活やマスク着用など、窮屈な生活を強いられて、以前とは違って気持ちが晴れない毎日を送っている人も少なくないと思います。

 この窮屈感は、自分のしたいことができないという、ある意味で自分の行動を縛られているという意識から生まれています。そうしたときには、少し気持ちを落ち着けて、自分が今本当にしたいことは何かを考えてみましょう。そしてそれが本当にできないのかを考えてみるのです。

 たしかに、今までのように自由に人と会って、酒を酌み交わし、大声で話すことはできません。しかし、必要があれば出かけていって人と会うことはできます。マスクをして静かに話すこともできます。遠くに行くことができないなら、オンラインで話すこともできます。いろいろな可能性があるのです。

 新型コロナの感染が拡大して、自粛生活をするようにいわれると、どうしてもできないことに目が向いてしまいます。そのために、不自由な思いをするようになるのです。しかし、その一方で、きちんと感染対策さえすれば、できることもたくさんあります。何も、一人で部屋の中に閉じこもっている必要はないのです。できることに目が向くようになれば、窮屈感は和らいできます。

 考えてみれば、新型コロナの感染拡大前も、何でも自由にできたわけではありません。その中で、私たちは、自分にできることをやってきたのです。コロナ禍でも、同じように自分にできることに目を向けるようにすると気持ちが前向きになってきます。

問い合わせ先

保健事業チーム TEL:052-880-6201 E-mail:jigyou@chudenkenpo.or.jp