健保からのお知らせ

2021/04/15

【すこやか健保☆定期便のご案内】〝うつ〟は特別な病気?実は誰もがかかり得る病気です!(4月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「〝うつ〟は特別な病気?実は誰もがかかり得る病気です!」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

〝うつ〟は特別な病気? 実は誰もがかかり得る病気です!

1年余りにわたる新型コロナウイルス感染症の影響で、職場は在宅勤務に、教育現場はリモート授業へと変わり、日々の感染対策や行動制限など私たちの生活環境は一変しました。

こうした急激な変化は心身にさまざまな影響を与えるため、うつ症状や不眠に悩む人が増えている一方、かえって暮らしやすくなったという方もいるようです。

  今回は、心の病気の専門家、北里大学医学部精神科の宮岡等教授にお話を伺いました。

体と同様に、心の不調にも治療が欠かせない 

 最近、〝コロナうつ〟〝在宅うつ〟といった言葉をよく聞きますが、これは正式な病名ではありません。そして、「うつ」はコロナ禍に生まれた特別な病気ではなく、誰もがかかりうる病気であることをまず知ってください。

 朝起きるとなんとなく気が重い、職場や学校へ行く気にならない、仕事に自信が持てない、なかなか寝つけない……。こうした状態が治らず続いているとき、あなたならどうしますか? 「すぐに良くなるだろう」「がんばろう」などと考え、自分で解決しようとするのではないでしょうか。でも、体が風邪をひいたりお腹を壊したりするように、心も疲れて病気になり、治療を必要とすることがあるのです。ただでさえ、日々ストレスに晒(さら)される現代社会、そこにコロナが追い打ちをかけることがあるのも現状では当然です。

 精神医学では、治療の要不要は別にして、「うつ状態に軽症から重症までの段階がある」と考え、その主な原因として『体の病気や薬の副作用が原因のうつ』『原因がはっきりしないうつ』『性格や環境が原因のうつ』の大きく3つの面を考えて診療にあたります。

「主治医との対話」と「薬の服用」が治療の基本

 精神科医はまずうつ症状の原因が、体の病気あるいは内科などで処方された薬や街の薬局で買った市販薬などに関係しているかどうかを調べます。脳梗塞や脳腫瘍、膠原病などの病気やホルモン剤などの薬がうつ症状を引き起こすことがあるからです。これを『身体因性うつ病』といいます。次に、原因が体の病気や薬ではなく、性格や環境でもない、原因がはっきりしないうつ症状ではないかと考えます。「朝に特に憂うつな気分が強い」「好きなことや趣味を楽しみたいという気持ちが起きない」などの特徴を持つことが多く、『内因性うつ病』と呼ばれることもあります。

 この2つに当てはまらない場合に、性格や環境、例えば社会的状況によるストレスが原因で起きるうつの可能性を考えます。性格がたまたま置かれた環境に合わないこともありますから、性格と環境はなかなか切り離せません。便宜的に『性格・環境因性うつ病』と呼ぶこともあります。皆さんは、うつ病のほとんどはこのケースと思っているかもしれません。しかし、それぞれ治療法が異なるので、原因をどう考えるか、そして複数の要因が関係することもあり、どの要因の関与が大きいかなどを考えることが治療上大切なのです。

心の不調も早期発見、早期治療がポイント

 うつ病治療の基本は〝主治医(専門医)との対話〟と、うつ状態の程度にもよりますが〝薬の服用〟です。「心の病気を薬で治せるの?」という疑問を持たれる人も多いかと思いますが、精神の状態は脳の神経伝達物質と深く関係していることが分かっています。ほかにも精神科医や臨床心理士がうつ症状にさまざまな角度からアプローチする〝認知療法〟などの〝精神療法〟が行われることもあります。また、働き過ぎや人間関係など生活の中にストレス要因がある場合は、この要因そのものを取り除くことも重要です。

 最近、表にあるような症状で悩んでいませんか。思い当たることがあれば、精神科の受診をお勧めします。体の病気と違って、心の病気は気付きにくいものです。「大したことはない」と感じていても、診察すると重いこともあり、急速に悪化することも少なくありません。

 だからこそ、早期発見、早期治療が大切です。「心の不調を精神科医に相談してみよう。大丈夫といわれれば安心できるから」……こう考えれば精神科受診のハードルも低くなるはずです。一方で、軽いうつ状態でも安易に薬を処方する医師がいるのも問題になっています。「この治療でいいのかな?」と疑問に思ったら、遠慮なく医師に伝え、それでも解消されない場合は、別の医師への受診を検討することをお勧めします。

監修:宮岡等

医学博士/北里大学医学部精神科(主任教授)、北里大学病院 病院長補佐、精神神経疾患医療センター長

診療はどの科に? 医師選びのポイントは?

 精神科、神経科、精神神経科、心療内科など、いろいろな診療科名があります。まずはどこでもいいですから、相談してみてください。ただうつ病は、医師の知識や経験が診察に大きく影響する分野です。最近は薬が必要とはいえないうつ状態に抗うつ薬を、生活面のアドバイスなしに睡眠薬などを安易に処方する医師がいることが問題になっています。かかりつけ医や会社の産業医などに相談して、適切な知識があり話しやすい精神科医を探すことも治療の一部です。説明が明確で分かりやすいか、話しやすい雰囲気か、通いやすい場所にあるか、なども主治医を決める上で大事な要因です。また診察時には診断や治療方針について、詳しく話を聞いてください。もし話しにくい雰囲気がある場合は、別の医師を探したほうがいいかもしれません。

健康マメ知識

うつ症状と脳内の神経伝達物質との関係

 心の病といわれるうつ病ですが、近年の研究で脳内の神経伝達物質が影響を与えていることが分かってきました。この神経伝達物質にはセロトニンやノルアドレナリンなどがあり、これらの伝わり方が感情や睡眠、食欲などに大きな影響を与えていると考えられています。

 仮説の段階ですが、うつ状態ではこの神経伝達物質の流れがうまくいかなくなると考えられています。今はこうした仮説が、抗うつ薬の効果などから推察されている段階ですが、今後、研究が進めば、うつ病と神経伝達物質の伝わり方の関係がさらに明確になってくるかもしれません。薬への依存を心配される方もいると思いますが、医師が処方する適切な薬を正しく服用すれば心配はありません。

 提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2021年4月号) **禁無断転載**

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