健保からのお知らせ

2021/01/15

【すこやか健保☆定期便のご案内】医療保険制度を持続させるため高齢者も所得相応の負担を!!(1月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「医療保険制度を持続させるため高齢者も所得相応の負担を!!」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

医療保険制度を持続させるため

 新しい年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。本年も健保組合・健保連は、皆さんの健康維持・増進のための事業をはじめ、将来も安心して医療が受けられるよう医療保険制度改革の実施に向けた活動に精力的に取り組んでいきます。

 昨年は新型コロナの感染拡大により、医療や経済など国民生活が激変した年でした。東京オリンピック・パラリンピックも1年延期されましたが、いまだ収束する気配はありません。引き続き〝ウィズコロナ〟の下で3密を避ける生活を強いられることになりそうです。

 厚生労働省は昨年11月末、2018年度に医療機関に支払われた医療費(保険診療)の総額である国民医療費が約43.4兆円、国民1人当たりで34万円強――といずれも過去最高を更新したことを公表しました。増大した理由は高齢化の進行と医療の高度化ですが、22年は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始めることから、医療費が急増し健保組合など保険者の財政が急速に悪化することが懸念されています。

 そのため、後期高齢者の医療費を負担している現役世代の保険料負担が過重にならないよう、後期高齢者の窓口負担に新たに2割負担を設け、一定以上の所得のある高齢者にも負担をしてもらうことが、政府の方針として決定しています。昨年末、この所得の扱いが焦点となり一応の決着をみましたが、非課税世帯を除く幅広い世帯を対象にすべきというのが健保組合、健保連の主張です。

 さて、今年の干支は「辛丑(かのとうし)」。辛は「ゆっくり衰退」「痛みを伴う幕引き」という意味が、丑は植物の芽が固い殻を破る「命の息吹」という意味があるそうです。このことから、辛丑は古きことに悩みながらも終わりを告げ、新しい芽生えを見いだす年になるともいわれています。

 言葉の意味どおり、コロナ禍などによる閉塞的な現在の状況を打開し、痛みを伴う改革になるかもしれませんが、持続性のある医療保険制度の構築に向けて、新しいスタートを切りたいものです。

 

コロナ禍でかすむ高齢者の負担問題

急がれる現役世代の負担増の抑制

新型コロナウイルスの感染拡大は健保組合財政に予想以上の重荷となっています。

「全世代型社会保障制度」への転換は、現役世代の負担増を抑えるためにも不可欠ですが、一里塚となる後期高齢者の窓口負担2割引き上げの対象範囲を論議する審議会では利害調整が先に立ち、政府が掲げる「応能負担」をどう位置付けるかといった議論はかすんでしまいました。コロナ禍における医療保険制度はどうあるべきか、オンライン診療の普及など生活全般の変化を見据えた検討が急がれます。

理念なき「所得区分」論議

 後期高齢者の窓口負担見直しを巡り、健保連や経済界は現行の原則1割から原則2割に引き上げるよう主張しました。しかし、日本医師会(中川俊男会長)などが受診抑制は重症化につながるとして難色を示した結果、政府の全世代型社会保障検討会議(議長・菅義偉首相)は2割負担の対象を一定以上の所得者に限定する方針を打ち出しました。

 現在、後期高齢者のうち単身者は年収383万円以上が「現役並み所得者」として3割負担の対象となっていますが、全体の7%程度にしか過ぎません。健保連は昨年11月、一般所得区分(年収155万円以上383万円未満)を2割引き上げ対象とする案を公表しました。健保連案では後期高齢者の50%超が1割負担から2割負担に移行し、40%を占める住民税非課税者は1割負担が維持されます。また、高額療養費制度で一般所得区分に該当する75歳以上と70歳から74歳までの年齢層の窓口負担が2割で統一され、同じ制度内で同じ所得区分にもかかわらず窓口負担割合が異なるという変則的な現状が解消されることになります。

 しかし、具体案づくりでは対象となる所得区分をめぐる関係者の思惑と駆け引きが目立ち、「年収240万円以上」(公明)と「同170万円以上」(自民)の間を取る形の「同200万円以上」で決着した菅首相と山口公明党代表によるトップ会談も「理念不在」を印象付けました。

「受診抑制=重症化」論は検証が必要

 窓口負担2割引き上げを巡って、日本医師会が一貫して主張してきた受診抑制に伴う重症化の懸念については検証作業が必要です。健保連が昨年11月に公表した「新型コロナウイルス感染症拡大期における受診意識調査」(表参照)は検証に向けた参考データの1つになります。

 それによると、緊急事態宣言下で「持病あり」群の2割強が医療機関における感染や不要不急の外出を避けるため受診を手控えましたが、このうち69.4%は「特に体調が悪くなったとは感じない」と答え、反対に「体調が少し悪wくなった」は10.7%、「体調がとても悪くなった」は1.5%でした。薬を普段より長い日数分処方してもらったり、電話・オンライン診療を活用した人ほど体調の悪化を感じにくかったことも分かりました。

 同じような調査を厚労省や日医、経済団体が実施すれば、コロナ禍における医療のあり方を探るためのデータが蓄積できます。電話・オンライン診療(グラフ参照)も含めて受診回数が以前よりも少なくなる生活が定着する中で、国民の健康レベルが維持できれば、自然な形で医療費適正化も進みます。

肩代わり部分への公費投入は必須

 健保組合財政は新型コロナウイルス感染拡大で急速な悪化が予想されます。賃金の低迷が長期化するシナリオによると、経常収支は2021年度にコロナ禍前より2400億円も多い6700億円の赤字となり、赤字幅は22年度に9400億円に拡大する見通しです。

 後期高齢者医療制度は本来、給付費の50%を公費で賄う仕組みですが、現役並み所得者の公費部分(4500億円)は現役世代が支援金の一部として肩代わりしています。健保財政が危機的状況に陥らないよう、肩代わり部分への公費投入を急ぐことは最低限の対応でしょう。手をこまねいていれば、健保組合の実質保険料率は21年度に10.2%、22年度は10.5%と、協会けんぽの平均保険料率(10.0%)を超える水準まで上昇し、解散を迫られる健保組合が続出しかねません。角(つの)を矯(た)めて牛を殺す愚は避けたいものです。

紹介状なし保険外負担は効果薄

 開業医などの紹介状を持たずに病院を受診した際、保険外負担の徴収を義務化する制度は2016年度に始まり、対象施設が広がっています。厚労省の調査によると、18年10月に紹介状を持たない初診患者の割合は特定機能病院などで34.7%、

400床以上500床未満の地域医療支援病院では42.7%で、1年前と比べて3~4ポイントの減少にとどまりました。保険外負担は初診で5000円以上と安くはない中、国民の大病院志向の根強さが浮き彫りになった格好です。

健康マメ知識

「全世代型社会保障」とは?

 医療・年金・介護など、高齢者が主な受益者となっている社会保障制度を子ども・子育て支援など若い世代が恩恵を受けられる施策にも広げていく考え方です。安倍晋三前首相が政権総仕上げの政策課題に位置付けましたが、安倍氏が2020年9月、体調不良を理由に任期途中で辞任したため、具体化は菅政権に引き継がれました。

 政府の全世代型社会保障検討会議が19年12月に取りまとめた中間報告には、一定以上の所得がある後期高齢者の窓口負担2割への引き上げや、紹介状を持たずに大病院を受診した際に保険外負担の徴収を義務付ける対象施設の拡大などが盛り込まれました。最終報告には不妊治療の保険適用など新たな取り組みが追加される見通しです。

 

 提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2021年1月号) **禁無断転載**

すこやか健保は健康保険組合連合会ホームページより一部ご覧いただけます。関連リンクよりご覧ください。

問い合わせ先

保健事業チーム TEL:052-880-6201 E-mail:jigyou@chudenkenpo.or.jp