お知らせ
2022年4月15日
【すこやか健保☆定期便のご案内】味覚・嗅覚異常だけじゃない 新型コロナ後遺症! (4月号)

健康保険組合連合会の刊行誌「すこやか健保」より、みなさまに有用な情報を「すこやか健保☆定期便」として定期配信いたします。(毎月15日頃配信予定)

今回は、「味覚・嗅覚異常だけじゃない 新型コロナ後遺症! 」です。

みなさまの健康リテラシーの向上にぜひお役立てください。

味覚・嗅覚異常だけじゃない 新型コロナ後遺症

新型コロナウイルスは変異を続けています。

感染時の症状について認識は広まったものの、感染後の後遺症については、まだあまりよく知られていません。

どのような症状がどれくらい続くのか、デルタ株とオミクロン株では症状が違うのか、仕事や生活にどのような影響があるのかなどについて、早い時期から「新型コロナ後遺症外来」を掲げ、3000人以上の患者さんを診察してきたヒラハタクリニック院長の平畑光一先生に伺いました。

新型コロナ後遺症には200以上の症状がある

新型コロナウイルス感染症の後遺症(以下、コロナ後遺症)といえば、感染した患者さんが、治癒後も味覚・嗅覚異常だけ残り続けることがあるとの報道で知られました。デルタ株が流行していた頃のことです。オミクロン株の流行後は、味覚・嗅覚異常を訴える患者さんは減っています。

軽い症状を含めると、およそ半数の方に、コロナ後遺症の症状が出るという報告があります。多くのコロナ後遺症の患者さんが訴える症状は倦怠(けんたい)感。その他にも気分の落ち込み、思考力の低下、頭痛、息苦しさ、体の痛み、不眠、動悸(どうき)、食欲不振、脱毛、めまいなども。ある論文によれば、205種類の症状があるともいわれています。

コロナ後遺症に移行する方のおよそ9割は、初めに新型コロナウイルス感染症の症状が出た後、陽性反応がなくなった後も症状は消えず後遺症に移行していきます。いったん症状が消えた方は、基本的にはコロナ後遺症の心配はないでしょう。ただし、稀(まれ)に数カ月経ってから症状が出る方もあります。新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)した方は、少なくとも2、3カ月は無理をしすぎないようにしましょう。

2回のワクチン接種が終わっていると、コロナ後遺症になる確率は半分程度になるとの報告があり、ワクチン接種はコロナ後遺症の予防効果もあると考えられます。

倦怠感を軽くみない 疲れたら休むこと

コロナ後遺症で生活に支障のない軽い症状であれば、心配することはありません。命に関わることは、少ないと考えます。

ただし、倦怠感の中でも軽い労作後やストレスの後、5~48時間後に急激に強い倦怠感が出てしまうPEM(Post-exertional malaise)につながるだるさは要注意です。

例えば、買い物に行っただけなのに、5時間以上経ってからだるくなって横にならざるを得ないような症状があれば、「買い物」が心身に過大な負荷を掛けていると考えます。「買い物くらい」と考えがちですが、無理は禁物です。

洗濯物を干すときに、胸より高く腕を上げただけで、その数時間後に体が鉛のように重く感じられるほどの倦怠感で動けなくなるという声も、よく聞きます。この場合は「腕を胸より高く上げる」ことが、心身に過大な負荷を掛けていると考えます。

PEMには安静が必須です。周囲の方は、患者さんがつらく感じる動作を聞いて、支えてあげてほしいと思います。

WHO(世界保健機構)のヨーロッパ地域事務局の「リハビリテーションのサポート:COVID−19関連の病気後の自己管理」には、「PEMがあったら運動や活動を避けて」とあります。PEMの症状があるときは散歩もできない、しない方がいいといえます。ここで無理を続けると、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に移行する確率が高くなります。

コロナ後遺症に理解と支援を

ME/CFSは、強烈な全身倦怠感とともに、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、思考力の低下、抑うつ症状などが長期にわたって続き、日常生活が著しく困難になる病気です。働くことができなくなるだけでなく、日々の生活にも支障を来します。

もちろん、コロナ後遺症からME/CFSに移行する患者さんは少数です。しかし、新型コロナ後遺症外来に来院される方の3分の2が、一時的にせよ、働くことに影響が出ています。

新型コロナウイルス感染症は、いつ誰が罹患してもおかしくありません。いきなり罹患して、そのまま後遺症に移行する病気です。多くの患者さんは早ければ1、2週間、長くても数カ月で治ります。ただし、一部に重症化や、長期化する患者さんがいることも事実です。

まだまだ過渡期で分からないことも多い病気ですが、世界中で研究が進んでいます。対処療法ですが、症状の改善が見込まれる治療法も分かってきました。厚生労働省をはじめ、各自治体も動き始めています。

コロナ後遺症は、症状の苦しさとともに理解されない苦しさもありますが、新薬を待ち、諦めず気長に療養しましょう。

新型コロナ後遺症についての平畑先生の詳しい情報はこちら https://www.longcovid.jp/

監修:平畑 光一先生

ヒラハタクリニック院長

日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医、日本内科学会認定医

Column

新型コロナウイルス感染症の後遺症は労災認定される?!

職場で新型コロナウイルス感染症に罹患し、その後、後遺症になった場合は労災保険給付の対象となります。

厚生労働省のホームページには、「労働者が新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険給付の対象となりますか」との質問に対し、「業務に起因して感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります」と明記されています。

後遺症に関しても、「新型コロナウイルス感染症による症状が持続し(罹患後症状があり)、療養や休業が必要と認められる場合にも、労災保険給付の対象となります」とされています。

該当する場合は、労働基準監督署にご相談ください。万が一、職員の理解不足などで「できない」と言われたら「そんなはずはない」と伝えてください。認定された前例はたくさんあります。

健康マメ知識

新型コロナによる休業、傷病手当金は?

新型コロナウイルス感染症に感染し、その療養のため労務に服することができない方については、他の疾病に罹患(りかん)している場合と同様に支給されます。被用者保険に加入されている方であれば、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2に相当する金額が、傷病手当金となります。

労務に服することができなかった期間には、発熱などの症状があるため自宅療養を行った期間や、自覚症状はないものの検査の結果「新型コロナウイルス陽性」と判定され自宅療養を行った期間も含まれます。また、やむを得ず医療機関を受診できず医師の意見書がない場合でも事業主の証明書により、保険者において労務不能と認められる場合があります。

提供元:健康保険組合連合会(すこやか健保2022年4月号) **禁無断転載**

すこやか健保は健康保険組合連合会ホームページより一部ご覧いただけます。関連リンクよりご覧ください。

問い合わせ先

保健事業チーム TEL:052-880-6201 E-mail:jigyou@chudenkenpo.or.jp